1987年に結成された孤⾼のバンド:フィッシュマンズのドキュメンタリー映画。
ボーカリストの佐藤伸治さんが突然亡くなる1999 年までの、80年代後期から90年代という⾊濃い時代を中⼼にバンドメンバーは勿論、様々な関係者の証⾔を元に構成された内容です。
鑑賞後、まず最初に感じた事は現在の⾳楽シーンで戦う様々な若いミュージシャン全員に観て欲しい作品だということ。佐藤伸治さんがご存命の時代のフィッシュマンズに関して、僕個⼈は熱⼼なリスナーではなかったのですが、バンドブームの波をもろに被った世代の⼀⼈としてこのバンドの存在は知っていましたし、何度か⾳源も聴いたことがあります。
が、今思うと当時の若い僕の中にフィッシュマンズを受け⼊れられる感受性が整って居なかったのだと思います。彼らの⾳楽の多くは決してポップなものではありませんし、その芸術性(!)の⾼さから万⼈に伝わるものでは無いのかもしれません。
が、様々な種類の⾳楽を聴きそして多くの⼈⽣経験を経た今聴くと、僕の中にフィッシュマンズのサウンドを聴く為の受容体が出来ていて、当時聴いた⾳とは全く違う鳴り⽅をし、その⾳と⾔葉の⼼地よい渦に巻き込まれる感覚があります。
多くの⼈に⾃分たちの感性を知ってもらうために、届ける⾳楽をポップにするというのは決して間違いではないですが、その作業によって戦略が上⼿くいかなかった場合、作り⼿としての⼼の葛藤やチームとしてのバランスを、どうやって上⼿く取っていくのかをつぶさに記録した、⼤変貴重な⾳楽ドキュメンタリー映画だと思います。
90年代という、今思えば全てのサブカル好きにとってとても純粋な時代に戦ったフィッシュマンズの歴史を是⾮多くの⼈に知って貰いたいです。
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